キズナ~私たちを繋ぐもの~

子供と父親


 不思議と涙は出なかった。

一人になったという心細さはあったけど、これが今の自分には似合いだとも思える。

ターミナルに入ってきたバスで家の近くまで行き、ゆっくりと自宅への道を歩く。

まだ陽の光を感じられる時間だ。

アスファルトから照り返す熱が、北風の寒さを癒してくれる。


 不思議と軽くなったような気がしていた。

司の事、とても好きだったけど。
とても頼りにしていたけれど。

やっぱり逃げていたからなんだろう。
いつもどこか後ろめたかった。

別れたことで、寂しくはなったけど、不思議な解放感があった。

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