キズナ~私たちを繋ぐもの~
目の前の小さな女の子は、見知らぬ私だからこそこんな話をするんだろうか。
ママには言えないから。
この小さな体で、寂しさをずっと抱え込んでるんだろうか。
さっきまで我慢していた涙が、うっすらと浮かぶ。
するとサユちゃんは驚いたように、私の頬を触った。
「おねえちゃんも、泣いちゃうの?
さびしいって、やっぱり言ったらダメなことばなの?
ママもね、サユがそう言ったあと、ないたの。だれも見てないとこでこっそり。
さびしいって、いっちゃだめなことなのかなぁ」
「……違うよ」
私はサユちゃんの頭をゆっくりと撫でた。
「ちゃんと言った方がいいよ。
さびしいって我慢してたら、サユちゃんがつらくなるよ。
きっとね、いつかパパが出来るよ。優しくて一杯遊んでくれるパパが」
兄が、もし紗彩さんと結婚すれば、きっとこの子の理想通りの父親にになれるだろう。
私が小さいときだって、兄はちゃんと父親役をやってくれた。
血のつながりだって、兄だったら越えて行ける。
兄は、紗彩さんと一緒になるべきなんだ。