キズナ~私たちを繋ぐもの~
「……だから笑ってね」
私がそう言うと、サユちゃんはにっこり笑って私に手を伸ばした。
「うん。お姉ちゃんも」
「そうだね」
サユちゃんの手と握手をする。
泣きたくなるほど小さな手。
この手にどれ程の寂しさを抱えていたの?
兄なら、この子を幸せにしてあげれる。
この子も多分、兄を幸せにしてあげれる。
兄は、私から手を離して、新しい幸せに向かって行くべきなんだ。
「じゃあ、お姉ちゃん行くね?」
「うん。バイバイ」
私は、紗彩さんに見つからないように、急いでその場を離れた。
バス乗り場で、早くバスが来ないかときょろきょろするも中々やってこない。
大きな車にハッと顔をあげても、白いワンボックスカーが通り過ぎただけだった。
それをイライラしながら見送ると、ようやく駅行きのバスがやって来た。