キズナ~私たちを繋ぐもの~
私が家に帰ったのは、もう夜の8時を回っていた。
「お帰り」
驚いたように、兄が居間から出てくる。
「車の音しなかったぞ。……司くんに送ってもらわなかったのか?」
「うん。まあ、いろいろ」
「何かあったのか?」
兄は中々勘が鋭い。
私は逃げるように俯いた。
「……ううん。お兄ちゃんご飯は食べた?」
「ああ。綾乃は?」
「私も食べた。疲れたから、もう寝るね」
「……綾乃」
呼びかける兄に視線を向けた。
兄は少し驚いたような表情をする。