キズナ~私たちを繋ぐもの~

どうしてだろう。
私の顔に何かついてる?


「どうかしたのか?」

「なあに、お兄ちゃん」

「いやなんか。……目が違くないか?」

「目?」


少し泣いたからかな。
鏡で見た時は腫れてはいないと思ったんだけど。

兄は手を伸ばして、私の頬に触れた。

その温かさに思わず体を震わすと、兄はゆっくり目を伏せて小さく笑った。
その間もずっと、私の心臓はドキドキ言い続けている。


「何でもないならいいんだ。ちゃんと休めよ」

「うん。シャワー使っていい?」

「ああ」


兄が居間に戻っていく音を聞きながら、何も言われなかったな、と一安心する。

もしかしたら、今日にでも『紗彩と結婚する』なんて言われるんじゃないかと思って、ドキドキしていた。

兄の幸せを願う一方で、やっぱり嫌だという思いが胸を揺すぶる。

私はなんて心が狭いんだろう。
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