キズナ~私たちを繋ぐもの~
ほぼ何も纏わない姿に、先ほどまではつけていなかった兄のくれたピアス。
今だ兄にある私の気持ち、言葉にしなくったってきっと分かる。
全て脱ぎ捨てて。
電気を消して。
兄を招き入れれば。
震える手で、部屋の明かりに手をのばす。
期待は甘い蜜のように、私をべたりと吸い寄せる。
暗闇から問いかければ、もしかしたら応えてくれる?
そんな悪魔のような言葉が私の頭の中をよぎっていく。
「アヤ、開けるぞ?」
ドアのノブが動いた瞬間、目の前をちらついたのは、サユちゃんの顔。
私は咄嗟に、扉を押さえた。
「……ごめん。着替え中なの」
「あ、そうか。悪い。あの、指……いや、コンビニに行ってくるから、何か欲しいものないかと思って」
「何も、……大丈夫」
「そうか。じゃあ行ってくるな」