キズナ~私たちを繋ぐもの~
繁華街のきらびやかな風景が、じきに住宅街のぬくもりある光に変わる。
家の前でタクシーを降り、玄関に向かうと兄が出てきていた。
「お兄ちゃん」
「タクシー使うなら呼べって言ったろう」
「だって、呼んで待ってる時間が怖いもん」
笑いながら視線を合わさないように家の中に入る。
だって嬉しくて。
寝ないで待っていてくれたのかと思ったら泣きたくなった。
この顔を見られたら、私の気持ちなんて簡単に伝わってしまうかも知れない。
「今更、俺に遠慮するなよ」
兄は笑いながら台所に入っていく。
そして、数分もしないうちに温かいお茶を持ってきた。