キズナ~私たちを繋ぐもの~
私は気まずさを紛らわしたくて、兄が入れてくれたお茶をすする。
ずずずという音だけが響いていく。
テレビでもつけようか。
何か他に話題になるものを見つけなきゃ。
リモコンを探してきょろきょろしていると、兄がぼそりと口を開いた。
「……そうだな。次はお前か」
「わ、分かんないよ。お兄ちゃんの方が先かも」
「それはないな。お前が先だ。婚約してんだから」
「そ、そうだけど」
兄は、司と別れた事は知らないままのようだ。
仕事で会ったりとか、最近はしてないのだろうか。
兄の視線はそのまま母の遺影へと移る。
その横顔から垣間見える肉親の情に胸が詰まる。
私たちは、ぎこちないながらも力を合わせて、今までずっと一緒にやってきた。
血の繋がりがない。
その事を私は刃にして兄にぶつけたこともあったけれど、きっとそうではない。
兄があの夜、涙を流して言ったように、やっぱり私たちは兄妹なんだ。