キズナ~私たちを繋ぐもの~


「……お兄ちゃん」

「ん?」

「今までありがとう」

「何だよ」


兄がぎこちなく笑う。
私の背中に手をのばし、さするようなしぐさをする。


「どうした? 具合でも悪いのか」

「違う。感謝してるの。私をずっと育ててくれて」

「嫁入り前の娘みたいなこと言うなよ」

「……だって。いずれいくもの」


その言葉に、兄の手がビクリと揺れた。


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