キズナ~私たちを繋ぐもの~


『離れたら駄目になると思ってた』

「司?」

『綾乃を達雄さんのところに戻したら、きっともう帰ってこないって』

「どうして?」

『綾乃が、どうやっても達雄さんを忘れないから』

「……」


言葉が告げれなかった。


そうやってあなたは苦しんでいたのか。
私の中途半端な甘えが、あなたを焦らせて傷つけていたのか。


『綾乃が諦めきれないのは、達雄さんも綾乃に気持ちがあるからだろ?』

「それは、違うよ」

『全く相手にされなければ、普通は忘れられる。あんな風に拒絶されたら、諦めがつくってもんだ』


それは、多分そうだ。

好きだと告げてベッドで抱きしめられて、それでも駄目だと言われた時、
もう絶対に無理だと、諦めなきゃいけないとそう思ってた。

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