キズナ~私たちを繋ぐもの~
兄は静かに近寄って来て、ギュッと抱きしめてくれた。
それまで、たくさん慰めてもらったけれど、こんな風に抱きしめられるのは初めてで、思わず呆けた声が出た。
「お兄ちゃん?」
「……っ。あり……がと」
それが涙交じりの声だった事にすごく驚いた。
お兄ちゃんが泣いてる。
どうしよう。
助けなくちゃ!
私の中で初めて芽生えた庇護欲。
もちろん8歳の私の庇護なんて、兄には必要なかっただろうけど。