キズナ~私たちを繋ぐもの~

兄は静かに近寄って来て、ギュッと抱きしめてくれた。

それまで、たくさん慰めてもらったけれど、こんな風に抱きしめられるのは初めてで、思わず呆けた声が出た。


「お兄ちゃん?」

「……っ。あり……がと」


それが涙交じりの声だった事にすごく驚いた。

お兄ちゃんが泣いてる。

どうしよう。
助けなくちゃ!


私の中で初めて芽生えた庇護欲。

もちろん8歳の私の庇護なんて、兄には必要なかっただろうけど。

< 30 / 406 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop