キズナ~私たちを繋ぐもの~
私は私なりに、この時は必死だった。
泣くのをやめて、一生懸命兄を慰めた。
それこそ、バカみたいな程真剣に大人ぶって。
「お兄ちゃん。泣かないで。
アヤがずっとそばにいてあげる。どこにも行かないで」
「うん。……ありがとう。綾乃」
力を込めて抱きしめられた体は、ほんの少し痛かった。
大きくて強くて優しい、私にとって絶対的に強い存在だった兄が、その時はとても弱く見えて。
それを不安に思うのと同時に、何故か近くに感じられたような気がする。
そう、この時私は、とても嬉しかったんだ。