キズナ~私たちを繋ぐもの~

誓いと未来


 二人で住めるアパートが見つかったのは、それから2週間後。
引っ越しを終えたのは1ヶ月後だ。

それと同時に入籍をして、名字は変わらないけど、私は西崎達雄の妻になった。

2人で暮らす毎日は、それまでの暮らしとそれほど変わらなかった。

眠るベッドが一つになったくらいで、家事の分担も今までとそう変わらない。


それでも、確かに違うのは気持ちが通じ合っていると言う事。

行ってらっしゃいもただいまも、言葉だけじゃなくキスが伴うようになったこと。

私の左手の薬指に、いつかもらったピアスのような青い宝石のついた指輪がはまるようになったこと。


「……式をあげようか」


ある日突然、彼が言った。


「どうしたの急に」

「ウエディングドレスがみたいから」

「でも、両親もいないんだから呼ぶ人なんて誰も」

「誰も呼ぶ気はないよ。二人で」

「……」


それはなんだか勿体ないと思うのは私だけだろうか。
口を挟もうとする私を、彼の言葉が阻んだ。

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