キズナ~私たちを繋ぐもの~
それは、綾乃が高校2年の時。
まだ誕生日前だったから、16歳の時だった。
その日はいつもより1時間も仕事が早く終わって、俺はウキウキしながら車を庭に停める。
今日の夕食当番は綾乃。
いつもだとエプロン姿で迎えてくれるんだが。
今日はどうだろう。
まだ作り始めてないかな。
たまに一緒に作ってもいい。
鼻歌を歌いながら玄関の扉を開く。
「ただいま」
ところが、予想外に声をかけても何の反応もない。
エプロン姿を期待していた訳じゃないが、いつものように笑顔で「おかえり」ぐらいは言われるもんだと思っていたのに。
なんか物足りない。
いや、落ち着かないと言えばいいのか?
どうしたんだろう。
何かあったのか?
俺は不審に思って静かに家に入った。