キズナ~私たちを繋ぐもの~
「綾乃。具合が悪い訳じゃないんだよな」
「うん。違う。あのね、ちょっと着替え中なの」
「着替え?」
……なぜ。
学校から帰ってきてからもう随分たつだろうに。
なんで今着替えなんかしているんだ?
「アヤ……」
つめよって聞こうとして、はたと気づいた。
俺は何をこんなに気にしてるんだ。
いかんいかん。
親じゃないんだから、そんなに過保護になってどうする。
綾乃だって年頃なんだから、色々あるんだろう。
「……じゃあ、俺が夕飯作っておくよ」
今考えられる中で一番良い答えを、扉に投げかける。
綾乃にとって、いい兄でいたい。
実際は本当の兄妹じゃないんだから、嫌がられるとヘコむ。
口で好きだと言われたい訳じゃないが、煙たがられたくはない。