キズナ~私たちを繋ぐもの~
――――……
おでこのあたりがひんやりする。
うっすらと目を開けると、もう夕闇が迫っていた。
いつの間にか俺の額に冷えたタオルがのっている。
俺が自分でやった訳じゃない。
ということは、綾乃が帰ってきたということか。
ぐっすり寝たせいか少し体が軽い。
俺は起き上がって部屋を出た。
すると、お盆に茶碗をのせた綾乃が驚いた顔で立っていた。
「……お兄ちゃん、起きたの?」
「ああ。綾乃、帰ってたのか」
「うん。もう1時間くらい前に。そしたらお兄ちゃん寝てたから。熱はなかったけど、昨日から具合悪そうだったし。
……おかゆ、作ってみたけど食べれる?」
「ああ。ありがとう。台所で食うよ。一緒に食べよう」
「ホントに大丈夫?」
綾乃は機嫌が良さそうに、鼻歌を歌いながら来た道を戻る。