キズナ~私たちを繋ぐもの~

――――……


 おでこのあたりがひんやりする。

うっすらと目を開けると、もう夕闇が迫っていた。

いつの間にか俺の額に冷えたタオルがのっている。

俺が自分でやった訳じゃない。
ということは、綾乃が帰ってきたということか。


ぐっすり寝たせいか少し体が軽い。

俺は起き上がって部屋を出た。

すると、お盆に茶碗をのせた綾乃が驚いた顔で立っていた。


「……お兄ちゃん、起きたの?」

「ああ。綾乃、帰ってたのか」

「うん。もう1時間くらい前に。そしたらお兄ちゃん寝てたから。熱はなかったけど、昨日から具合悪そうだったし。
……おかゆ、作ってみたけど食べれる?」

「ああ。ありがとう。台所で食うよ。一緒に食べよう」

「ホントに大丈夫?」


綾乃は機嫌が良さそうに、鼻歌を歌いながら来た道を戻る。

< 343 / 406 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop