キズナ~私たちを繋ぐもの~

 クーラーのきいた薄暗い部屋で、俺は汗ばんだ体にシャツを着込んだ。


「……帰るの?」


暗闇から聞こえるのは、先ほどまで肌を合わせていた女の声。


「ああ」

「帰らないで。……朝まで一緒にいて?」


会社の後輩であり、1ヶ月前からつき合い始めた『彼女』でもある塔子(とうこ)は俺の背中に抱きつくようにしてそう言った。


「悪い。妹が心配だから。つき合う時に言ったろ? 
外泊はできないけどいいかって」

「あんなの、冗談だと思っていたのよ」


彼女の手が背中を滑る。
先ほどまでの甘い感覚が蘇って体が疼く。


「大体、妹っていくつよ。子供でもあるまいし。1日くらい一人でも平気でしょう?」

「あいつはまだ子供だよ。19だ。そっちこそ25だろ。いい大人だ。一人でも平気だろ?」


俺の返答に、塔子はむっとしたように体を離す。

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