キズナ~私たちを繋ぐもの~
「シスコンね」
「……何だと?」
「先輩たちが言ってたのは本当だったのね。西崎達雄はいい男だけどシスコンだって。だから誰とつき合っても半年しか続かないって言ってた」
「そんな噂が、流れてんのか」
「当たり前よ。自分を一番に想ってくれない男と続く訳ないわ。ましてこの年なら、結婚だって考えたいのに。ねぇ、私と妹と、どっちが大事なのよ」
「……悪い」
迷いもなく妹だ。
たった1ヶ月つき合っただけの女と、生まれた時から傍にいて、8歳からは手塩にかけて育てた妹。
比べるべくもない。
俺の返答に、塔子の顔がどんどん崩れていく。
このまま付き合っていってもこんな顔をさせるだけなら、終わりにした方がいいのかもしれない。
「別れようか」
情事の後だと言うのに、俺はあっさりと別れの言葉を口にした。
案外と酷い男だと、自分でも思う。
「……最低ね」
塔子の声に嗚咽が混ざる。
そのまま泣き崩れる彼女に、優しくするのは更に卑怯な気がして、服を着こんで彼女のアパートを後にした。