キズナ~私たちを繋ぐもの~
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「よっ、罪な男」
会社について早々、そんな言葉と共に背中を叩かれた。
振り返ると、整った顔に爽やかな笑みをたたえた同僚の葉山英治がいる。
「英治」
「きいたぜー、塔子ちゃんから。お前ホントにそのシスコン何とかしろよ」
「塔子が?」
昨日のあの状況から、どうして英治に報告する流れになったと言うのだろう。
「お前まさか」
「なんだよ。常々相談に乗ってあげてたんだぜ、俺は。傷ついた塔子ちゃんを慰めるのは俺の役目だろ」
「……本気じゃないくせに」
「お前が言える立場じゃないだろ」
「まあな」
俺は溜息と共に頭をかいた。