キズナ~私たちを繋ぐもの~
英治は同期入社だが、俺とは違い出世コースに乗っていて、現在は開発部の方で活躍している。
整った容姿と人好かれする性格で、男女を問わず人気がある。
加えて、本人も特別誠実である事へのこだわりは無いらしく、
昔から、どんな女の子にも気軽に声をかけ、気軽につき合っていた。
多分どれも本気ではないのだろう。
つきあっても数ヶ月がせいぜいだった。
はっきり言えばちゃらんぽらん。
……まあそれは、俺が言える筋合いの事ではない。
遊びでつき合っているつもりはないが、俺も女とは長く続かない方だ。
それでも英治が誰とも修羅場を起こさないのは、彼の人格であるとも言えた。
同期入社の男たちが次々と結婚していく中、落ち着いていないのは俺と英治を含めた数人。
決まった恋人がいない、という観点から見れば俺と英治だけだと言えるだろう。
「お前は俺に感謝するべきなんだぜ?」
英治がにやりと笑う。
「なんでだ?」
「お前に悪評が立たないのは、彼女たちがすぐ俺に乗り換えるからだろ」
「……確かに」
それはそうだ。
言いくるめられたような気もするが、そう考えれば英治は俺にとってありがたい存在ではあった。