キズナ~私たちを繋ぐもの~
両親だって妹だって実際は他人だ。
俺には、本当の家族は無い。
専門学校なんか行かないで、いっそのこと就職して家をでよう。
そう思った。
早く自分の本当の家族を作るためには、働いて資金を溜めた方がきっといい。
思えば自分の結婚願望は、この時が最高値に達していた。
両親には専門学校に願書を出すと言いながら、実際には出さずにいた。
人知れず就職先を探すも見つからず、半ば焦り始めた18歳の誕生日。
俺は自分の気持ちを両親に伝えた。
両親は驚いて「頭をあげてくれ」と言った。
でも俺は、本気だった。
本気で家を出て、自分だけの何かを持ちたかった。
だけどあの日、そんな俺の決意を押しとどめたのは、妹である綾乃の言葉だった。