キズナ~私たちを繋ぐもの~

その後、父が死んで、母が入院して。
俺たちは二人きりになった。

10歳も離れた妹は、俺の子供みたいなものだ。

この時から、俺の結婚願望みたいなものは満たされてしまったのだと思う。

必死で綾乃の面倒を見る数年間、彼女ができなくても気にもならなかった。

やがて、綾乃が中学生になるにつれ、お互いに距離を保つようになり、
俺も会社の女の子に興味を持つようになったりしたけれど、

綾乃の為に外泊はしたくなかったし、彼女たちは自分が一番じゃないと知ると去っていく。

そんな事を繰り返した数年間。

今だ俺は綾乃以上に大切に思える女性には出会っていない。

綾乃が手を離れるまでは、無理のような気もする。



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