キズナ~私たちを繋ぐもの~
終業後、俺と英治は行きつけのブルースバーに行った。
薄暗い店内に響くギター演奏。
薄茶色の液体の入ったグラスを傾けて一口飲む。
なんて格好つけて見ても中身はウーロン茶だ。
車通勤なのと、酒に弱いのとで、飲みに来ても俺は殆ど呑まない。
英治は、ニヤニヤしながらビールを掲げ、「カンパーイ」と浮かれたように呟く。
そして一口飲むと、意味ありげにこちらを見た。
「いい加減、手を出しちまえば?」
「は?」
「妹。血はつながってないんだろ?」
サラリと言った言葉に俺は驚く。
「おい、バカなこと言うなよ。血はつながってなくたって妹だぞ。むしろ俺は親父みたいなもんだ」
「……お前それ本気で言ってんの?」
「本気だよ」
英治は今度は大声で笑い出した。