キズナ~私たちを繋ぐもの~
彼との思い出
もらったピアスを耳につけて、カバンの用意をする。
指先が中にある指輪のケースに触れた時、心臓がぎくりと震えた。
脳裏にふっと司の顔が思い浮かぶ。
真剣な顔で、それでも追い詰めない笑顔で話してくれた。
返事を濁した後は、寂しそうに笑ってたっけ。
胸がきゅっと詰まって、苦しくなる。
司の事をどう思うかと自問すれば、
やはり好きなのだろうとは思う。
私にとって、兄以外にはじめて心の奥まで入ってきてくれた人だ。
彼に会うまでは人を好きになることも、上手に出来てなかったんだもの。