キズナ~私たちを繋ぐもの~
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 翌朝も春らしい快晴。

綾乃は昨日の新入社員たちが初々しくて可愛かった、なんて言いならが出かけて行ったが、
もはや新入社員と呼ばれた時代からは遠いところにいる俺は、むしろこの季節は苦手だ。

何かが変化することが元々苦手。

春はその最たるもので、新入社員の新生活になじめないそわそわした感じが伝染してきて、いつも気が滅入ってくる。


 俺の勤める会社はオフィス機器の開発・販売・メンテナンスを一手に引き受けるそこそこのオフィス機器メーカーだ。

俺はそのメンテナンス部で、仕事上は外回りの方が多い。

新入社員研修が終わる7月には、彼らが配属されてくる。
そうすると、連れて歩かなければいけないんだろうなぁなんて考えると、ますますブルー。


「西崎、今日回るリストここに置くぞ」

「はい」


一日で回る取引先は平均4件。

本日は3件で余裕がある。
うち2件が修理、1件がメンテナンスだ。

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