キズナ~私たちを繋ぐもの~


 それからも平和な日々は続く。

里中くんは営業なためか、色々な会社に出入りしていて。
割と俺と行き先がバッティングすることがあった。

その度に、人懐っこく笑ってはお茶に誘ってくれる。

うん。ますます持って好印象。


 しかし、そんな平和な日々は、ある日突然終わりを告げる。

綾乃の会社の前で里中くんと出食わしたのは、冬の初めの頃。

彼は俺のところに向かってくる綾乃に、声をかけてきた。


「初めてこの会社で君を見たときから、ずっと気になっていたんだ」


受付嬢をしている綾乃を、ずっと前から気にしていたと赤い顔で言う。
そこには間違いなく誠実さがあり、俺は血の気が引いた。


理想の男が現れた。


『真剣に綾乃を想っている』


そんな最重要ポイントを押さえた男が、

ついに現れてしまった。





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