キズナ~私たちを繋ぐもの~
今日、世界で一番大切な女を迎えに行く。
*
目覚ましが鳴る。
午前8時。今日は休みだからと時刻は遅めの設定。
それまでには自然に目覚めるだろうと思っていたのに、予想外に目覚ましの音で目が覚めた。
上半身だけを起こして、カーテンをざっと開けると清々しいほどの青空が広がっていた。
「朝か……」
綾乃が俺の前から姿を消してもうすぐ一年。
居場所を突き止めてからは、長くても2週間に1度は様子を見に行っている。
友人の英治からは、ストーカーとまで言われたこんな状態ももうすぐ一年。
綾乃が自分を変えたいと思っているのなら。
そして、俺がまだ妹としての綾乃を捨てきれないのなら。
迎えに行くべきではないと思い続けた一年でもあった。