キズナ~私たちを繋ぐもの~


なんとなく、くすぐったいような気分で、墓を軽く掃除し、線香をあげる。

細い煙が線のように立ちあがり、空気に溶けていく。


「良かったな。父さん、母さん」


仲の良かった両親。
墓の中で今頃笑っているだろう。

残酷なことを言うようだけど、母さんにとっては多分、あのまま生きながらえるよりこの方が幸せだったんじゃないかと思える。

縁あって、家族になって。
血のつながらない俺を、実の子供のように愛してくれた。

とても感謝している。

なのに。


「ごめん」


彼らの娘を、好きになってしまった。


「父さん、母さん」


たなびく煙は、風が吹くと方向が変わる。

俺の方へ拭きつけて、鼻をくすぐる。
煙たさに、少し目が潤んだ。

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