キズナ~私たちを繋ぐもの~
司はその時、すごく驚いた顔で兄と私の顔を見比べていた。
実際、私と兄は当然だけど似てはいないから、驚いたのだろう。
「じゃあ行こうか。里中さん、またよろしくお願いします」
「ええ。あの、……あの、ちょっと待って」
「え?」
彼は、車に乗り込もうとした私の腕を掴んだ。
「綾乃……さん?」
「え? あ、はい」
「もしよかったら、今度お茶でも飲みませんか」
「え?」
私は驚いて、司の顔をまじまじと見ていた。
それは兄も同じだったようで、言葉を失くして佇んでいた。