キズナ~私たちを繋ぐもの~


「ほら、ついたぞ」


車は総合病院の前で停まった。

母は事故の後遺症でここに入院している。

現在の病名は【虚血性心疾患】。
ストレスや高血圧や色々な要因があるらしいけれど、時たま心臓の発作を起こすのだ。

元々、事故の時に脳を損傷してしまったらしく、言動もふさぎがちで挙動もどこかおかしい。

事故にあってから17年、母はどこかが治れば次のところというように、体中を順々に治療しているような状況だ。


「お母さん」


病室に入ると、母が点滴をつけた状態で横になっていた。


「達雄、綾乃」


弱々しい笑顔で私たちの名前を呼ぶ。

たまにしか切らない髪はぼさぼさのまま伸びて、片側で結われている。
顔全体に皺が多く、年齢よりも老けて見える。

< 48 / 406 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop