キズナ~私たちを繋ぐもの~
「ほら、ついたぞ」
車は総合病院の前で停まった。
母は事故の後遺症でここに入院している。
現在の病名は【虚血性心疾患】。
ストレスや高血圧や色々な要因があるらしいけれど、時たま心臓の発作を起こすのだ。
元々、事故の時に脳を損傷してしまったらしく、言動もふさぎがちで挙動もどこかおかしい。
事故にあってから17年、母はどこかが治れば次のところというように、体中を順々に治療しているような状況だ。
「お母さん」
病室に入ると、母が点滴をつけた状態で横になっていた。
「達雄、綾乃」
弱々しい笑顔で私たちの名前を呼ぶ。
たまにしか切らない髪はぼさぼさのまま伸びて、片側で結われている。
顔全体に皺が多く、年齢よりも老けて見える。