キズナ~私たちを繋ぐもの~
「あの子を引き取って本当に良かった。アンタも兄弟がいて良かったでしょう?」
「うん」
でもね、お母さん。
やつれた母の横顔を眺めながら、責め正したい気持ちにもなる。
そのせいで、お兄ちゃんは今でも家に縛られているんだよ。
あんなに優しいお兄ちゃんが幸せになれないのは、私たちのせい。
「本当にごめんね」
「謝らないでってば」
母は、謝ってばかり。
やせ細って骨っぽくなった母の指を見ながら、どうしてこんなに母といるのが気まずいのか考えてみた。
真剣に考えてみれば、答えはまるで前から知っていたかのようにあっさりと見つかった。
「綾乃? どうかした?」
「……ううん」
母が自分に似ているからだ。
見たくもない自分の罪を、目の当たりにさせられるから嫌なんだ。
「何でもないよ」
目をそらしたいのに、ここに来たら嫌でも見せつけられてしまうから。
だから苦しいんだ。