キズナ~私たちを繋ぐもの~
司は気まずそうに私をちらりと見る。
何と声をかけたらいいか迷って、私は思わず目をそらしてしまった。
うつむいた私の視界には、ベッドのシーツと彼のスーツの膝のあたりが見える。
「実は、綾乃さんにプロポーズをさせてもらったんです」
突然振ってきた彼の言葉に、私は息を呑んだ。
顔をあげると、驚いている母と同じく言葉を失くしている兄がこちらを見ていた。
「綾乃、それ本当なの?」
「え、あ、……うん」
「なんで早く言わないんだ」
責めるような兄の声に、心臓が重たくなったように感じる。
「いえ、綾乃さんは家の事気にしていて」
「つ、司」
これ以上余計なことを言わないで。
そんな気持ちで彼の方を見ても、気持は通じていないみたい。