キズナ~私たちを繋ぐもの~
「と……とにかく、少しゆっくりお茶でも飲もう。綾乃、一緒に来てくれるか」
固まりかけた空気をほぐしてくれたのは兄の一言だ。
「司くん、少し座ってゆっくりしていてくれ。
母さんも、司くんに色々聞きたいこともあるだろう。
お茶を買ってくるまで待っててくれないか」
私の肩を引き寄せて、先に部屋から出してくれる。
そうでもしなければこの空気から逃れられなかった私は、病室の外に出られてホッと息をついた。
けれども、後ろから出てきた兄が扉を閉めた音が響いた途端に、再び緊張が走った。
「綾乃」
「……はい」
見上げれば、責めるような視線とぶつかる。
兄にこんな風にみられるのは嫌だ。
何だかいたたまれなくなる。