キズナ~私たちを繋ぐもの~
「どうして言わなかった。いつプロポーズされたんだ」
「いつって、……昨日よ。決められないから待ってって、そう言ったんだけど」
「昨日?」
兄の目が見開かれる。
プロポーズをされたのに、あんなふうに寝こけてたかのと思ってるんだろうか。
「……迷ってるんだもん。
司の事は好きだけど、結婚となればまた違うじゃない」
兄が再び口を開く前に、私はいい訳のように呟いた。
ああ。
またこんなことをしてしまう。
お願いだからそんな目で見ないで。
兄からの否定的な視線は、我慢できない。
無意識に、取り繕うような事を言ってしまう。