キズナ~私たちを繋ぐもの~
さっきまでの幸せな空気が沈んでしまったようで、だんだん申し訳なくなってきた。
そんな私の表情を察してか、彼は少し曇った笑顔で頷いた。
「分かったよ。ゆっくり考えて。指輪は綾乃が持っててくれ」
「……うん」
そう言われて、ケースに収められたままの指輪を見る。
真ん中に大きなダイアモンド、その周りを飾る細工の小さなところに光っているのも、ダイアモンドかしら。
銀色に輝くその指輪は眩しすぎて、思わず目を伏せて蓋を閉じる。
そしてゆっくりと鞄にしまった。
「でようか」
促されて、残っていたシャンパンを飲み干す。
彼は運転するからという理由で飲まなかったのに、私にはお祝いだからと頼んでくれた。
優しい。
彼はいつも、優しいのだ。
なのに私は彼を、いつもこんな風に悲しくさせてしまう。