キズナ~私たちを繋ぐもの~
「……とにかく、もう少し考えさせて」
「分かったよ」
「それと指輪も、やっぱりまだ司が持ってて?」
私はカバンの中から指輪のケースを取り出す。
昨日からずっと、この指輪に責め立てられていた気分で落ち着かなかった。
司は、それを見て一瞬悲しそうな顔をする。
「指輪は綾乃に持っていて欲しい。
別に、迷ってるならつけなくていいんだ。
ただ、俺の気持ちの証として持っていてくれればいい。
もし気持ちが決まって、応えてくれる気になったらつけてくれないか」
「……分かった」
仕方なく、眩しすぎるそのリング再びカバンに戻す。
司の視線が、瞼のあたりをさまよっているような気がして、中々顔をあげれなかった。
心の中を占めているのは謝罪の気持ちだ。