キズナ~私たちを繋ぐもの~
私は、甘えている。
兄だけじゃない、司にも。
答えを待たせてどうする気なんだろう。
兄への想いは叶わない。
だったら、司のもとへ行ってしまった方がいいはずなのに。
捨てられない。
自分からは手が離せない。
こんなんじゃ駄目だと思うのに。
堂々巡りを繰り返すばかりの私の気持ち。
考えれば考えるほど悲しくなってくる。
私はどうしてこうなんだろう。
人に甘えてばっかりで、誰も助けられない。
「綾乃」
「……え?」
彼はふっ切ったように明るい声で、私の名前を呼んだ。