キズナ~私たちを繋ぐもの~
「司と、食事でもしてくるね。……あの」
「ああ。わかった。遅くても心配しないぞ」
「……うん」
兄は当然のように、にこりと司に微笑みかける。
「すいません。綾乃さんお借りします」
「頼むな、司くん」
「はい。お母さんも、またお見舞いに寄らせてもらいますね」
「ええ。ありがとう。綾乃の事、よろしくお願いします」
母も兄も、司の事を本当に信用している。
確かに、信用に足る人だ。
自分でもそう思う。
「綾乃、何が食べたい?」
司は私の手を引いて、駐車場まで連れてきてくれた。
「なんでもいい。簡単なものでいいよ。そんなに空いてないから」
「じゃあイタリアンとかにするか」
車に乗り込んで、ナビを頼りに近くの店を探す。
店内は食事時で混んでいたけど、2人だからそれほど待たずに通してもらえた。