キズナ~私たちを繋ぐもの~
「なんか飲むか?」
「ううん、いい。司も運転しなきゃだし」
「いいよ。綾乃は飲みたい気分なんだろ?」
「……じゃあ、一杯だけ」
そうして頼んだワインは、大衆向けのもので特別に深みがある訳でもないのに、ひどく私の喉を締め付けた。
なんだか酔いつぶれたい気分だ。
お酒に強いってこんな時は損。
「おいしいね」
「そう? まだ飲みたいか?」
「うん」
目の前で優しく笑う司を、まっすぐに見れない。
私が何かにショックを受けて何かに迷っている事を、彼はきっと気づいているはずなのに問い詰めない。
司はいつもそうだ。
追い詰めない。
迷ってる私を、少し離れて泳がせてくれる。
だからは私はそれに甘えて、すがってしまう。