キズナ~私たちを繋ぐもの~
お願い。
ちらつかないで。
瞼を閉じると浮かんでくる、兄の姿を忘れたい。
だってどうにもならない。
焦がれても焦がれても私は妹でしかなくて。
酔った勢いでキスなんかしないで欲しかった。
そうしたら、諦めることしかできない感情を誤魔化し続けられたかも知れないのに。
「……んっ。はぁっ」
そのまま、司に身を任せる。
電気が消されて、抱きあげられてベッドへとゆっくり寝かされた。
「綾乃……」
熱のこもった声に罪悪感が湧きたつのは、私の心が司だけを見ていないから。
「好きだよ」
彼の声を塞ぐようにキスをして、深い闇の中に落ちて行く。
どうしたら、この優しい人だけを見つめることができるのか。
誰かが答えを知っているなら、お願いだから教えて欲しい。