キズナ~私たちを繋ぐもの~
その時、庭先に車の止まる音がした。
私が驚いて窓の方を向くと、司は咄嗟に手を掴んだ。
「……いたっ」
「綾乃」
「司?」
「相手がお兄さんじゃ、望みは無いだろう?」
トンカチで頭を殴られたような感覚。
一瞬視界が真っ暗になった。
「……知って?」
「やっぱり、そうなのか?」
私の答えに、彼はひどく傷ついたような顔をした。
……試されたんだ。
怯えを含んだ目で私は司を見つめた。
何と答えればいいか分からない。
掴まれた手は痛いけど、振り払う勇気はない。
そんな膠着状態のうちに、兄が玄関を開けて帰ってきた。