キズナ~私たちを繋ぐもの~
ふらつく足で台所に行き、兄の分の湯呑を取り出す。
お茶を兄に渡して、うつむいたままその疑問を投げかけた。
「……お兄ちゃん、紗彩さんといたの?」
「え? ああ。なんでわかった? 少し話をしてきたんだ」
「そう」
そのまま司の方を見れば、何とも言えない表情でこちらを見ている。
泣きたい。
もう、どうしたらいいのか分からない。
司に気づかれてしまった、この気持ち。
だったらもう、放ったままにはできない。
プロポーズの返事だって、こんな曖昧なままにはしておけない。
「……俺、帰ります」
突然司が立ち上がるので、私も兄も驚いて見上げた。