キズナ~私たちを繋ぐもの~


 やがて車は家の前に辿りつく。
庭に一台の車があるのを見て、司は怪訝そうに眉を寄せた。


「車があるのに真っ暗だな。達雄(たつお)さん、どこか出かけてる?」

「ああ。今日は飲み会だから車を置いてってるの。大丈夫。ありがとうね」


鞄を抱え直して降りようとすると、そっと手を掴まれた。


「さっきの事、ゆっくり考えて。待ってるから」

「うん。ありがとう」


そして彼は、自分も車から降りて玄関まで送ってくれる。
鍵を開けて灯りをつけるのを確認すると、もう一度私の肩を抱いてキスをした。


「また、週末な」

「うん。気をつけて」

「ああ。見送らなくていいよ。早く部屋に入ってあったまれよ」


そう言って、彼は足早に車に乗り込むと、エンジン音を響かせて走って行った。


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