龍神
「はぁ…」
「…っ雨葉が!!雨葉が笑ってる!!」
「俺、人間、笑う」
「ならいつでも笑ってろよ!」
「…や」
葉月の言葉に、プイと横を向く雨葉
ははっ、猫みたい
すると、雨葉が俺の服の袖をクイクイと引っ張る
あー、まじで弟にしたい
「どうしたの?」
「…帰ろ」
「うん、そうだね。帰ろっか。」
「よし、腹減ったー!」
そう言って歩き始める俺たちの後ろで
「っ待てってー」
「置いてかないでよっ」
幸と刹那が叫ぶ
それを聞いた雨葉は俺の手を引き、二人の前に連れてきた
「雄馬、連れてく」
「…俺が?」
「ん。」
「二人とも?」
「どっちか。俺、持つ」
そう言って、雨葉は刹那を背負う
あ、選ばせてはくれないんだね
まぁ、別にどっちても良かったんだけど。
…必然的に俺は幸をおぶらないとダメってことか
「ヨイショっと」
「行こ」
「うん」
本当に俺、雨葉に甘いなぁ
雨葉に頼まれて無かったら、踞った姿傍観してとんだけど
まぁ、たまにはこういうのもいっか
「雨葉ー!雄馬ー!早く行くぞー!」
葉月が叫ぶ
どうやら待っててくれたよう…とりあえず後で伊月は締めようか
俺はそんなことを考えながら、雨葉と二人を背負いながら皆のもとに走った
「雄馬くーん、俺落ちそうだからもっとちゃんと背負って欲しいなぁ…なんて」
「我が儘言うなら落とそうか?」
「…何でもありません。わー、嬉しいナァ。雄馬くんの上はサイコーダヨ」
「ならよかった」
「……(落ちたくない落ちたくない落ちたくない、絶対落とすつもりだったよねー今!いや、もうマジで!てか、もうちょっと優しくして欲しいよねー!自分の急所がマジで痛いし、もうホントに!あー、落ちたくない。マジで落ちたくない。てか、何で雨葉は刹那を選んじゃったのさー。ちょっと頼くんが俺を可哀想な目で見てるしよー。え?てか何?ちょっと雄馬くん疲れちゃったのかなぁ、片手離しちゃってるよー。俺の見間違いかな~。疲れたって聞こえた気がするよ~。幻聴かなぁ?幻聴だよねー。疲れてる気がするのも気のせいだよね~。もう決めたー。俺一生雄馬には逆らわない!口答えもしない!あー、今日の晩御飯は何かな~。てかそろそろ家?うわー結構早く着いたー。つってももうそろそろ痛みも引いてきたしぃ。あ、魚の煮物だったらいーなー。)」
side雄馬 終