親友な女
自宅
「おはよう・・・・・・」
朝子は気まずそうにオフィスに入ってきた。いつもの出勤時間より5分早い9時5分。

「おはよう!」
加奈はロッカーに荷物を置きながら、笑顔で答えた。

「昨日は・・・ごめんね」

「大丈夫だよ! それより体のほうは大丈夫? あんまりムリなダイエットとかしちゃダメだよ」

加奈は朝子が貧血で帰ったという設定で話してあげた。朝子はホッとした表情で話を切り替えた。

「そういえばねぇ、ちょっと聞いてくれる??」

「なになに?」

「また私の親友のことなんだけどぉ」

「あ! あの進くんといろいろあった?」

「そう! やっぱり終わっちゃったんだよ~」

「やっぱりぃ?」

「昨日さ、親友から電話かかってきちゃって、もう泣きながら話してさ、夜中まで! 超疲れたぁ~! でも無下に話終わらせるわけにいかないからさぁ・・・」

「相変わらず優しいんだから! 自分だって体調よくなかったくせに」

「うん・・・まぁ。・・・友達だからね」

「うんうん。そうだ! この間の合コンはどうだったの?」

「それも話そうと思ってたぁ~とりあえず掃除機パパッとかけちゃうから、その後聞いて~」

「オッケーオッケー! あたしもさっさと拭き掃除終わらしちゃうね!」


いつもより10分も早く掃除を終了させると、二人は給湯室で紅茶を入れ始めた。


「でね、その大地くんっていうのがすっごい面白くて、絶対お笑いのセンスあるよ!」

「まじで? 朝ちゃんについていける?」

「いける! って、私、何様って感じなんだけど(笑)」

「でも、よかったね~いい人いて!」

「うん! 次の飲み会も決まってて、それがね、バレンタインの日なの! 彼氏彼女いないもの同士集まっちゃえって」

「そうなの?」

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