親友な女
 朝のオフィスは社員が一人と朝子と加奈の派遣の二人だけ。

 三人で掃除と朝のお茶の準備をする。朝子と加奈は、社員がフェイスブックで遊んでいる間に掃除をさっさと済ませ、給湯室で社員のお茶の準備をしていた。


「朝ちゃん、今日のワンピ可愛いぃ!」

「でしょ? 掃除のとき汚れないように気遣っちゃった!」

「だよね? 雑巾やってるときなんて、下着見えそうでドキドキしちゃったもん! 新しく買ったの?」

「ううん。この服ずっと持ってたんだけど、こんな花柄の可愛い系ワンピなんて私のガラじゃないでしょ?・・・・・・足だって出すことなんてめったにないし・・・なんか急に女の子っぽくするのって恥ずかしいから、ずっと着たことなかったんだ・・・・・・」

「えぇっ!? もったいない! 似合う、似合う~。ぜんぜん似合うよ! 恥ずかしがんなくて大丈夫だよ~」

「ほんとにぃ?」

「ほんと、ほんと!」

「加奈ちゃんも今日のロングスカート、森ガールみたいでかわいい!」

「そう? ありがと~。でもどうして急にオシャレしたの? 何かあるの? もしかしてデート?」

「ううん、また合コン。今週の土曜なの。その時に着てみようと思ってるんだけど・・・いつもパンツスタイルだから、いきなりこんな可愛い系当日に着て、似合わないのに気合入れてるなんて思われたら嫌じゃない? だから予行練習っていうか・・・加奈ちゃんに見てもらおうと思ってさ。この会社、女の人が多いし、いろんな服装の人いるから何着ていっても構わないかな~って思って」

「まぁね。ここって服装は自由だよね。ジーパンにTシャツの野暮ったい人もいるし、超ミニの人もいるし、まともなOLセンスの人いないもんねぇ」

「そうそう。ねぇ・・・似合わないなら正直に言って。この服やめるから」

「だから正直にいってるじゃん! 朝ちゃんは可愛いよ! 土曜はオシャレしていきなよ。朝ちゃんはホントに可愛いんだから、自信持ってね!」

「ありがとぉ~~! 加奈ちゃんに言われるとほっとする」

「まったく! ホントに自分に自信がないんだから、朝ちゃんは。朝ちゃんは、可愛いんだよ! あの、ほら、朝ちゃんがいつも面倒見てあげてる、あの合コンにいつもついていく男好きのお友達よりぜんぜんイケてるんだよ?」

「男好きって・・・・・・一応私の親友なんだけど・・・」

「親友なの? うそだぁ。だって・・・でも・・・まぁいいや。土曜の合コンもその子は参加するの?」

「ううん。その子は前回の合コンで知り合った進くんとまだゴチャゴチャやってるみたいだから・・・・・・」
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