親友な女
「進くんって、あの朝ちゃんが気に入ってた人?」

「そう」

「なんで~? 奪われたってこと?」

「奪われたって・・そんなんじゃないよぉ。私、別に進くんとは何もなかったし・・・」

「でも朝ちゃんの方が先に出会ったんじゃん! その合コンだって、朝ちゃんと進くんが幹事だったんでしょ? 進くんと仲良くなりたいから、また合コン開いたんじゃなかったの?」

「まぁ、そうだけど・・・だからってカレは私のものじゃないもの。出会いの順番なんて関係ないよ・・・」

「それはそうだけど・・・・・・でも朝ちゃん好みの爽やかな人なんでしょ? 一緒にいい感じで幹事やって、朝ちゃんの恋が始まりそうだったんじゃない? 悔しくないの?」

「・・・・・・悔しくないわけじゃないけど・・・結局始まらなかったからいいの! それに今はもう私の親友とゴチャゴチャしてるし、芽生え始めてた恋心も吹っ飛んじゃった!」

「え~~・・・もったいないぃ。・・・ねぇ、ちょっと気になるんだけど、ゴチャゴチャって?」

「うーん・・・なんか言いにくいんだけど、その最初の合コンですぐホテルいっちゃったみたいで・・・親友の方から後で聞かされたんだけど・・・」

「マジで? その子、ホントにすごい簡単に男の人とそうなっちゃうんだね。朝ちゃんの親友なのに正反対じゃない? 朝ちゃん、マジメなのに・・・」

「学生の頃からそうなのよ、その子。短大時代の友達なんだけどさ。あんまり友達もいなくて・・・だから私が・・・」

「なるほどねぇ、朝ちゃん、そういう浮いてる子ほっとけないもんね。でもまぁ、その日のうちにホテル行くような女にひっかかる男なんて、取られて良かったんじゃない?」

「うん、まぁね。進くんってぜんぜんサワヤカくんじゃなくて、ただの男だってことがわかってよかったよ」

「そうそう。ヤレるんなら誰でもいいんだって! そもそもなんでその子の事、いつも合コンに誘うの?」

「だって・・・行きたそうだったし・・・。つい合コンの話をしちゃう私も悪いんだけどさ。その子大人しいから合コンにでも行かないと出会いないんだよ。私が出会いの場を作ってあげないとダメなの・・・」

「大人しそうな子なのに尻軽って最悪じゃん! そんな子と親友だなんて、ほんっと、朝ちゃんってお人好しだね~」

「それ、よく言われる~! いい奴だよねとかいい子なんだけどねとか・・・。そんで友達にはなるんだけど、女として見てもらえないの・・・」

「男好きの友達なんてほっとけばいいのに、盛り上げるためにお笑いに走ったりするからだよ~」

「だってやっぱ、飲み会とかで大人しくしてる子がいると、話振ってあげなきゃって思っちゃうんだよね~。無視して自分だけ楽しめないよ」
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