親友な女
「じゃあ、大丈夫じゃん! チャンス、チャンス」

「でも・・・私はいいよぉ~」

「またそんなこと言う! そんな控えめじゃ一生彼氏できないよ~? ワンピが意味なくなるじゃん。」

「でも、きっとその子も知らない人ばっかりのところじゃ話せないし、たぶん、私、ほっとけないよ」

「なんでそんな子連れて行くの? 朝ちゃんが恋人つくりに集中できないじゃん」

「そうなの! そうなんだよ~。でも私の周りは大人しい子ばっかりだからさ・・・私が合コンでも開いてあげない限り出会いなんてないからさ・・」

「う~ん・・・もう! それが朝ちゃんなんだよね~・・。ホント人のことばっかり考えて」

「ごめんね~。加奈ちゃんに余計な心配ばっかりかけて・・・」

「やだぁ、謝る必要なんてないってば! そりゃ、ちょっと呆れちゃうけど、それが朝ちゃんのいいところなんだもん。しょうがないよ」

「ありがとぉ。次の合コンがダメでも加奈ちゃんのダンナ繋がりがあるからね!」

「・・・まぁね」

「今日、早速ダンナに言って・・・」




「ちょっとぉ、いつまでも給湯室占領しないでくれる?」



「あ・・・・・・すいません」

「すいません・・・・・・」

 朝子は持ったままにしていた紅茶の葉をあわててティスプーンで掬い上げた。加奈は棚から社員専用のカップを取り出し始めた。

「別にいいんだけどさぁ、ちょっとくらいさぼっても。でもそろそろ他の社員も出勤してくるから早く仕事についてよ」

「あ、はーい。分かりましたぁ」

 二人は声を揃えて答えた。二人に返事を確認した社員は、冷蔵庫から自分専用のヨーグルトを取って給湯室から出て行った。
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