親友な女
「やだ、びっくりしたぁ。あの人影薄いからいつも突然なんだもん」

「ねー? 髪が腰まで無造作に伸びてるしさぁ、ホント幽霊みたい」

「うんうん。なんか気持ち悪いよね?」

「うん。女捨ててるって感じ」

「でも彼氏いるらしいよ?」

「ホントにぃ? あの人にいて、なんで私にいないんだろぉ」

「まぁ、まぁ。続きはお昼休みにまた話そ? 今は早く戻んなきゃ」

「あっ、そうだね。昼休みにまた続き話そう!」

「うん!」

「今日のお茶、緑茶でいっかなぁ? 紅茶入れんの面倒くさくなっちゃった」

「うん、いいんじゃない? 部長は紅茶がいいっていつも言ってるけど、飲みたかったら廊下の自販機で買うんじゃない?」

「だよね」

「あ~あ、仕事もめんどくさいなぁ」

「やだよね~。単調作業だから眠くなるぅ」

「簡単な仕事でラクなんだけどねぇ。やりがいないよね」

「ホントだよ。入力だけなんて、スキルアップぜんぜんできないよ!」

「あ~うん・・・あたしはもうスキルとか別にいいんだけどさ・・・」

「それは加奈ちゃんが結婚してるからだよぉ。私なんてこのまま彼氏できなかったら、一人で生きてかなきゃいけなんだから、どこでも通用するようなスキルつけたくて派遣に登録したのになぁ」

「一人になるなんてことないって~。今がんばって合コン行って、出会う努力してんだからさぁ、報われるって!」

「だといいけど~そしたら私もスキルなんていらない~。でもダメ社員にアゴで使われるのはやだなぁ」

「それは思う~。仕事できる尊敬できる上司ならいいけど、自分の仕事はいい加減なくせに、いつもえらそうに命令口調だからね~」

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