和咲男子高等学園
顔が紅潮するのが分かる。
夏の気温のせいじゃない。
右隣りにいる奏のせいだ。
「あ、ありがと…」
「まぁ、俺のせいで髪の毛結べねーんだけど。」
そう言った奏の口調はどこか遠慮がちで。
奏のせいだなんて、
これっぽっちも思ってないのに…
「今度、奏が『俺のせい』とか言ったら殺すから。」
私は冷たく言い放つ。
すると、奏の顔が私の方を向いた。
「はぁ?」
怪訝そうな顔をしてる奏に負けそうになるけど、怯まないぞ、私
「私は、奏のせいとか思ってないから。」
思いのほか、声が大きかったらしく、隣にいた真昼くんが少しビクッとした。
でも、奏のせいとは本当に思ってない。
だから自分を責めて欲しくないんだ。
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